つないだ小指
「あ、俺そろそろ行くな。」


「おう。またな。」


「あ、菜々美、この間の話取り消しな。

 郁人!さっきの話だけど俺本気だから。」


「ああ。望むところだよ。渡さないけどな。」


「何?春日何の話?この間って?」


「郁人から聞け!じゃあな!」

春日は、気になるセリフ残して足早に去った。

この間の話って、好きだったていうこと?


「郁人?」


「ま、後でゆっくり話してやるよ。とりあえず家具や行こう。」

郁人の顔が少し曇った気がした。

言いにくいことなのだと思い、黙って頷いた。

でも気になるなあ。

わたしのことなんだろうし、

それにしても何で春日は部屋まで見に来たんだろ?

郁人が来たのも驚きだったけど。

腑に落ちないことだらけだ。
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