つないだ小指
郁人とはベットのサイズで口論になった。

シングルを買いたいと主張すると。

絶対ダブルにしろと却下された。

「だって狭い部屋なのよ、ダブルなんて入れられないよ。」

「菜々美は俺泊めないつもり?」

「そこなの?

 一人でそんな広いベッド寂しいでしょ。

 たまにしか来ない癖に我儘すぎ!」


「ぐっ!じゃ、せめてセミダブルにしろよ。」

郁人がしょんぼりしたので、わたしが折れた。


「わかった。そうするから。」

子犬みたいにかわいいと思ってしまった。

この頃の郁人は二人だと喜怒哀楽をはっきり表に出してくる。

この間、春日が言ってた。

私達の間に壁が無くなったと思う。

 郁人が好きでたまらない。

郁人からも好きが伝わってくる。


言葉の、行動の端々で『気持ちが繋がってるな』と思える。


ほんのりあたたかくて、こそばゆいかんじ?
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