つないだ小指
郁人は朝方まで菜々美を抱きしめたまま眠り、


長いキスの後



車で、清里に戻って行った。


私は、郁人と愛し合ったベッドをしばらく見つめていた。



昨夜の自分を思い出し、余韻に浸っていた。



恥ずかしくなって体が熱くなる。


私は、やっていけるのだろうか、


郁人の居ない毎日をこの部屋でおくることができるのか。


目ざまし時計が鳴った。


このときの幸せだった記憶は、


後に来る郁人との嵐の前の


神様のプレゼントだったのかもしれない。




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