つないだ小指

暗転

会社から10分という立地のワンル-ム。

あっという間に会社に着く。

ラボのドアを開けると、春日が休息用の長椅子で新聞を読んでいた。

「室長、おはようございます。」

「おはよう。昨日引っ越しだったんだろ。

もう、終わったか?」

「はい、おかげさまで。」

「近くていいな。今度遅くなったら泊めろよ。」

「冗談ですよね。下手したらセクハラですよ室長。」

「本気だって!郁人に聞いてない?婚約者公認の浮気相手のつもりだけど。」

「春日、笑えない。本気で怒るよ。」

ジロッと睨んでとがったピンセットを振りかざした。

「ごめん。からかいすぎた。」

ムスッとして、席を立って、、

乾燥してあった実験道具をガチャガチャと片付けた。

郁人から聞いていた話を思い出しながら、

ちゃんと自分の気持ちをはっきり伝えるべきだと思い直した。

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