つないだ小指
遥は起き上がってぼんやりしていた。

「専務、すみませんご迷惑をおかけしました。」

「いや、それより、君、妊娠してるって?」

「はい、5か月に入ったところで、何事もなくってほっとしました。」

笑顔になってお腹を撫ぜた。

その仕草は、彼女は生むつもりで、

命を守っていることが表れていた。

「相手の人は、例のアメリカの?」

「はい。父には反対されていますが、

近いうちに向こうへ行くつもりなんです。

彼も喜んでくれて、、、」

永澤の顔が曇っていく、

「嘘です。ゴ-ルデンウィ-クに別れたんです。

お腹に子どもがいると告げにいったけど、


新しい恋人がいて、言えずに逃げ帰ってきちゃいました。」

俺はなんでここに居るのか、

なんで、こんな告白を聞くことになったのか。

と自分の行動を呪った。

彼女にいったい何をしてやれるのか、

ヤヤコシイことに自ら巻き込まれていく予感に茫然としていた。


「専務、お願い父には言わないで。」






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