つないだ小指
「ま、それはいいとして、お前、郁人に会ってるのか?」

「え、あ、ううん引っ越しの日から会ってない。」

「連絡は取ってるのか?」

「いや、最近電話も来ないし、メ-ル一方通行なの。」


「ばあか!!なんかとんでもないことになってるぞ。」


「!!とんでもないって。」



「郁人副社長の娘と付き合ってるって、

結婚するとか副社長が言ってるらしいぞ。」


。。。。。。え?


晴天の霹靂というのはこのことで、

何の不安も無いと言えば嘘になるけど、

郁人が私を離れるなんてことは今まで一度もなかったし

どんなに郁人がモテていても、私以外に気持ちが揺れないと思い込んでいた。

そういえば、と思い当たる節はあった。

結城家に郁人パパが何か言いたそうにしていたり。

今まで電話は無くても、メ-ルの返信はその日のうちにあったから。

今回のように音信不通なんてことは無かったのだ。


どうして?


あの日感じた幸せは、偽りだったの





< 130 / 153 >

この作品をシェア

pagetop