つないだ小指
気がつくと、

結城の家のベッドで眠っていて、

傍に春日が椅子に座って眠っていた。


「春日。」

「目が覚めたのか、大丈夫?」

「私手放さなくちゃだね。

 郁人が戻らないって決めたなら、

 私は背中を押してあげなくちゃ、

 持ち切れないほど沢山のものを

 郁人から貰った。
 
 愛される幸せも、

 愛する幸せも、

 遥と、赤ちゃんを

 選ぶというなら私は、」


「菜々美!駄目だちゃんと郁人と話せ。

 そんなすぐ結論だすな。

 俺、車持ってきたからこれから行こう。」


「春日、そんなことしてもらうわけには、」


「俺がしたいんだ、親友だろ!

 郁人と菜々美、二人は俺の親友だ。

 俺を振ったくせにこんな簡単別れたりするな。」



怖い、でも、春日の言いたいことは分かる。

自分の中で自己完結するのは私の悪い癖だ。

状況も解らず悲劇のヒロインやってしまうところだった。

郁人はいいかげんな男じゃない

言えない何かがあるから口をつぐんでいる。

春日はそういいたいんだ。

今、郁人は辛いに違いない。


郁人に会おう。

郁人の心を救ってあげなくては。



< 132 / 153 >

この作品をシェア

pagetop