つないだ小指
「もう、全て解決したんだ。別れたりなんかしなくていい。」

郁人は手を絡めて繋いで、

来た道を戻りながら、全てを話してくれた。

聞きながら体中の血液が流れ始めた気がした。

心臓も鼓動を始めたような感覚がした。

昨日から、体中の器官がストライキをしていたようだった。

「菜々美ごめん。お前に嘘つく自信なくて、

電話もできないし

メ-ルは何度も書いては、送れずに過していたよ。

時間はかかったけど、

永澤が子どもが産めるように副社長に認めてもらったよ。

まあ、父親のディビットが両親に頭を下げることが条件で。

それも昨日済んだ。」


「菜々美会いたかった

久しぶりに会った菜々の顔を曇らせるようなことしたね、ごめん。」


郁人の顔を覗き込んだ、

笑ってる。


来て良かった。

ありがとう春日。

私達はきっと大丈夫。

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