つないだ小指
「体調は大丈夫ですか?」
「はい。」
「昨日は、あんな状態で帰ってきたので心配してたんですよ。」
「はあ、色々あって、お騒がせしちゃいました。」
「もう解決したみたいですね。」
私は恥ずかしくなって、
「はい。」
とだけ返すと。
「綾波さんは菜々美さんの事が好きなようですね。
ずっと、寝顔を見つめてました。」
わたしの、困った顔をみながら、
「人の心は思うようにはならないし、皆が幸せになれるわけじゃないから。
菜々美さんが幸せになることは誰に遠慮はしなくていいと思いますよ。
彼もきっとそれを望んでいるはずよ。」
優しい笑顔で梓さんは微笑んだ。
「梓さん私の話を聞いてくれますか。」
私は、自分の色々なことを梓さんに話した。
考えると、私の深い話を聞いてくれる人は郁人意外いなかった。
仲良くなった遥とも、深い話はできなかった。
梓さんの笑顔は、凍らせていた私の気持ちを解かしていった。