つないだ小指
両親のこと、

郁人のこと、

愛菜のこと

春日のこと、

遥のこと、


話しているうちに涙が止まらなくなった。


「すみません、何で涙が出るんだろ。」

梓さんはわたしの頭をそっと抱きしめて。


「つらかったね、

 かわいそうだね。

 誰にも気持ちを分かって貰おうとしてこなかったなんて、

 菜々美さん。

 大人になってもね、辛いことは、辛いと言わないと、

 心が育たなくなっちゃうの。

 体と違って、心は成長し続けるのよ。

 それを押し込めたりするから、

 自分が分からなくなっちゃったのね。

 大丈夫よ、今日からきっと動き出すわ。

 心に素直になりなさい。

 人のことばかり気にしないで、

 本当の自分の気持ちにブレ-キをかけなくていいの。

 あなたは、幸せになるの

 誰にもそれは止める権利はないの。」



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