つないだ小指
郁人SIDE:::::::


明日、婚約式があるために朝から会場に入り、打ち合わせをしていた。

菜々美は、午後から合流することになっている。

清里の一件以来、毎日電話で話していたせいか、

一週間があっという間だった。

声を聞くと会いたくなるからと、

電話をしなかった自分がうらめしい。


清里で散々菜々美を泣かせてしまったが、

以外に電話の声は元気だった?

とにかく菜々美の元気な姿が早く見たいと思った。


会場の入り口で、佇んでいる菜々美を見つけた。

声を掛けると明るい笑顔の菜々美がいた。

式なんて、緊張してるかと思ったら、

力強く「大丈夫。」とかえしてきたしかも、

「世界一きれいになる。」

とか、

「ハラハラさせる。」

とか、

やけに強気なことばかりいう。

おれが、憧れて已まなかった頑張りモ-ドの

香菜子さんがいた頃の菜々美だった。

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