つないだ小指
「菜々美ちゃん。」


いつものように講義が終わり郁人の待つカフェテラスに行くと、


何度か会ったことのある男の子が声を掛けてきた。


「あ。綾波さんでしたっけ?」


「え-『?』て何だよ。おれ郁人の親友なんだけど。何度もあってるでしょ。」


「はあ、そうでした。すみません。」


菜々美は、1年休学している間に郁人と仲良くなった人で、綾波春日という。


人懐っこい笑顔で、いつもみんなの輪の中心にいる。高校時代の菜々美を思い出



させられるので、避けてしまう。私はあの頃の自分が嫌いだから。



「なんか疑ってるね、別にナンパとかじゃないよ。」
  

 
「はあ。」



「郁人から伝言、郁人ゼミの教授について急に宮崎行くことになった。


 菜々美ちゃん、携帯切ってるでしょ心配してたよ。


 じゃ伝えたからね。」

バイバイと手を振りながら去って行った。

私は、あわてて携帯を取り出す。  しまった充電切れだ。


「ありがとう!春日さんっ!」後ろ姿に声を掛けた。


去りかけた春日が走って戻ってくる。


「名前、知ってたの?」


あ、やば、これって呼びとめた感じ?
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