つないだ小指
郁人~東京一日目


戻るとすぐ本社で報告を済ませて、家に向かった。


今夜は、家でおかえりパ-ティを開いてくれると菜々美から連絡がはいってい

る。



できれば家で菜々美や愛菜とゆっくり過ごしたいと思っていた。



久しぶりに家に帰るのは照れ臭かったし、ありがたかったかもしれない。



飛行機の中でも、タクシ-でも、菜々美にどんな顔で会おうか、そんなことに思


いを巡らせていた。


折角戻ったのに、菜々美は会場の中を飛び回っていて、郁人と眼すら合わせよう


としない。パ-ティの最中も眼で追うのは菜々美ばかりだ。


思ったより大きいパ-ティに驚かされた。友人知人に声をかけて、


ケ-タリング業者の手配、パ-ティの取り仕切りもたぶん菜々美だろう。


昔から、話題の中心で、誰からも頼られる世話好きなやつだっけ。


香菜子さんが亡くなってから、菜々美は消極的になった。


自信がなく、いつも俺のそばで寂しそうな顔をしていた。


俺がいなかった半年間、君はどんな風に過していたの?。


会いたかったよ菜々美。君はあの頃の笑顔取り戻した・・?



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