つないだ小指
郁人が言ってる言葉は半分しかできなかった。

でも、たしかに、別れた男はみんな、

『俺だけを見て欲しかったよ。』だった。


「春日、春日もさ多分自分のの魅力は気づいてないんだ、

 でもみんながあいつに巻き込まれてく、

 人懐っこくて、楽しくて付き合いもいいし、

 優しいし頼れるだろ。

 好意持っちゃうだろ。」


「うん、そうだと思う。だから郁人は親友になったの?」


「う~ん? 違うかな、

 俺はできれば近づき来たくなかったかな。

 振りまわされるのは菜々美だけで充分だったし。」


「すみません振りまわしてたんだ。」


「性別は違うけど、俺から見たおまえらは凄く良く似てるんだ。


 高校の頃の、元気な菜々美に戻ってほしくて、


 春日に頼んで一緒にいてもらってたんだよ。」


「復学したころのわたしひどかったものね。」


「でも、失敗したしたって後悔してるんだ。

すっかり仲良くなっちゃって時々俺が入る隙間がナイくらいにね。」


「もう、郁人そんなことないってば。」


「春日は、間違いなく菜々美が好きだよ。

 あいつ、お前と出会ってから特定な子とつきあえなくなっちゃったから。」

「そんな。」


「ね、菜々美。高校生の時の菜々美って、

 あの頃の菜々美の心縛ってたのってさ、、、

 あれ俺でしょ。」


郁人にすっかり見透かされてた私の気持ち、


誰と付き合っても、私の心はのめり込めなかった。


郁人に映る自分が気になって仕方なかった。


そう、私の心は郁人に縛られていた。




< 41 / 153 >

この作品をシェア

pagetop