つないだ小指
「知ってたんだよわたし、郁人が私を好きでいてくれてること。でも、恋愛の対
象じゃないなんていって、あっちふらふら、こっちふらふらして、結局振られて
慰めてもらう癖に、すぐ、違う人とつきあったりしてさ、郁人が私から離れない
って知ってて利用した。
この写真、最後に撮ったのは高2の郁人の誕生日。前の日に付き合ってた後輩に
振られて大泣きした後だった。」
「あ、これだな、すげー眼がパンパンだな、
うん覚えてる、この後、遊園地行ったよな。
何処行っても、何に乗っても泣いてるから、
俺が泣かせてるみたいだったよ。」
そうだった、ずっと手をつないでてくれたっけ。
「迷惑ばっか掛けてたよね。」
「お前が振られるのは俺のせいだって分かったからな。
迷惑というのとは違うよ。なんていうか、役得みたいな?」