つないだ小指
「この写真貰ったのはそれから一週間後、結城ママは、自分がガンでもう長くな

いこと、郁人が私を大切に思ってることを話してくれたの。それと郁人をよろし

くって頼まれた。」

郁人はびっくりした顔して、それから困惑した顔になった。

「母さん、逝く前に菜々美にプレッシャ-かけてったの?」

「違うよ、もっと素直になっていいよって、郁人は待ってるよってこの写真を見

せて教えてくれたの。この写真郁人が結婚して子どもができたらその子に見せる

ためにコレクションしてたんだって。でも、もうできないからって私に。」


「かあさん、俺のことなんだと思ってるんだよ。。。」

呆れ顔の郁人。くすっ、母の愛よ

「なあ菜々美、悪いけど俺は傷ついてなかったよ。

菜々美はずっと俺しか好きじゃなかっただろ。

もがいてるだけって分かってたし、打たれても立ち上がって立ち向かってくボク

サ-見たいで面白かったよ。

まあムカつくことはあったかな、呆れてたって言った方が正しいかな。

いい加減あきらめて俺んとこ来いって思ってたな。」

郁人はあっけらかんと言った。私一人で罪悪感持って一人で悩んでたの?

それにボクサ-みたいなんて、、、、

「う、、ひどいよ郁人。でも、ごめん。

郁がどう思ってたというより、自分の気持ちに向き合うのには時間が必要だった

んだと思う。遅くなったけどちゃんと向き合ってちゃんと考えて答え出したの、

郁人のことがずっと好きでした。愛しています。

そばに居させて下さい。」

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