つないだ小指
宴会を抜け出して、廊下に出る。

わたしってお酒強かったんだけどなあ。

愛菜について寝ちゃうからお酒とかひさしぶりなんだ。

私たちの席から離れて前に並んだ重役席に郁人の顔があった。

高山さんとのやり取り見てたかなあ。

いつも隣にいたのに、なんか別世界のひとのような

わたしは、わたしよね。

郁人に向き合ったわたしは、もう一歩を踏み出したんだ。

自分の足で歩くんだ。


「佐伯菜々美さん。」


「は、はい!」


振り返ると郁人が笑って立っていた。


「お酒に酔ったの?大丈夫?」


「郁っ、結城専務!だ、大丈夫です。」

ちょっと顔をしかめてから、耳元で


「付いてきて。」

と囁いて階段を下りて行った。


ぼ-っとしていると。郁人の姿が見えなくなりあわてて追いかける。

付いた先はPrivateと書かれた部屋

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