つないだ小指
「「何?複雑ね。」

「複雑なのは、専務のお父さんと結婚直前に母が死んじゃって

 赤ちゃん残していったから。」


「へ~そういうことなんだ!」


高山君!!! わ~秘密って難しいな


「高山君オフレコでおねがい。昨日の醜態も忘れてください~」

「あははッ了解。じゃ、メアド教えて?口止め料。

 ありがとう!!ラッキ-だったよ連絡先知りたくって君を探してたから。」

携帯に登録しながら高山君が弾んだ声で言った。


「ちょっと、さっきの聞いてたでしょ、菜々美は専務の恋人だって。

 ちょっかいださないでよ。」


「遥、駄目内緒にしてっ。」


「なんで?堂々としてなよ。誰かにとられちゃうよ。

いい男なんだから。キャピキャピ新人たちが狙ってたよ。

まあ、あの子たちは本社勤務だからあまりかかわりないかもしれないけど。」


「あの、まさか、遥も?」

「私?私はデビットってアメリカ人の恋人がいるわよ。

 当分は別れる予定ないから安心してね。」


「いい女には彼氏がいるんだなあ。」高山君が残念そうにため息をついた。


「そうよ、私たちはだめよ。軽い付き合いがしたいんなら、

 あの子たちにしなさい。すぐ釣れるって。」


「俺だって選ぶ権利あるでしょ。佐伯さんは、

俺の憧れの人の好きな人の娘さんだからなあ。

諦められるかなあ。本気になっちゃうかも。」


「高山さんっ。」


「なんて冗談だよ。佐伯さん永澤さん友達になってよ。

いいでしょ。秘密も守るし。」

高山はニッと笑った。ずるいよ。こうして、秘密同盟?がむすばれた。



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