つないだ小指
東京に戻ってくると、家の中から愛菜の泣声が響いてた。

「ただいま、愛菜どうしたっ、パパ?」

「あ~菜々美ちゃん助かったよ~、この3日間泣きっぱなしだったんだよ。」

「な-な-」ぱたぱたと走り寄ってくる愛菜にびっくり

「愛菜って走れたの?」

子どもの成長ってすごい。



「わ-動画とらなきゃ愛菜もっかいやって!!郁人に見せたい。」

泣き疲れたのか、走るのに疲れたのか。愛菜はぐっすり。

「結城パパ仕事休んだの?3日も?」

「う-ん、ホントは休めなかったんだけど菜々ちゃん行ったあと姿探し始めた

らもう騒ぎだしちゃって、住み込みの人頼んであったんだけど,

はがんじゃって大暴れ、手に負えなくって一日で辞められてしまったよ。

そして

途方に暮れた父が休みとって一緒にいたんだけど、この始末。」


「何か、のんびりしてきちゃってすみません。」


「いや、反省してた。菜々美ちゃんお母さんでもないのに

ずっと一人で子育てしてたのかって。甘えすぎてたね、すまなかった。」


「いえ、お手伝いさんもいたし、保育園にお世話になってたし

 私なんていいとこどりしてるだけですよ。」


「で、どうしようこれから、

あてにしてた住み込みのシッタ-辞められちゃったよ。」


「わたし、職場の人に頼んでみます。早めに帰らせてもらえるように。

 保育園は朝7時から夜8時まで見てもらえるから、

  なるべく早く代わりの人探してください。」


「郁人に怒られそうだな。」

「家にいない人には文句言わせません。可愛い愛菜のためですもん、

 がんばっちゃいますよわたし。」


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