つないだ小指
「遅い!!」

わたしたちの目指す扉の前にて立っている人がいる。

「あ、すみません!!」

あわてて駆け寄ると、

!!!


知った顔、いやいつも見ていた顔の男がムスっとしてわたしを見る。

春日?!

驚いて茫然としていると、

「荒川正行です。よろしくお願いします。」

はっとして、わたしも続く、

「佐伯菜々美です。よろしくお願いします。」

「上出来だ。入って!!」

開け放たれた実験室は、無機質だが整然として広いものだった。

「ようこそ第4ラボへ、室長の綾波春日です。よろしく。

 ここは荒川君、ここは佐伯さんの席ね細かいことは追々話すとして

 君たち実験得意だよね。

 悪いけどこの指示書どうりに検証実験始めてくれる。

 分からないことは、俺か設楽にきいてくれ!後は、頼む。」


「あ、設楽こずえです。皆さん歓迎します。ていうか待ってました。」


「佐伯です。」「荒川です。よろしくお願い、、、」


「あいさつはいいわ、とにかくこの指示書今日中に何とかしてください。」


設楽さんはてきぱきと指示書どうりの器具を揃えてさあどうぞとばかりに2人に


白衣と指示書を3枚づつ手渡す。


「足りないものは聞いてね。

引き出しにラベルはってあるから、

できるだけ自分で探していただけるとありがたいです。じゃ」


わたしと荒川君は顔を見合わせて呆れ。

「じゃやりますか。」

「そうだね。」


指示書を見ながら、実験に取り掛かった。


学生時代に戻ったようだった。




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