つないだ小指
「愛菜、破壊力あるな~っ、

 俺ちょっといや、かなり凹んだよ。」


「大きく成ったでしょ。最近急激に言葉が増えてね

 子どもの成長って半端ないよね。」

二人で観覧車に乗る。


「なあ、菜々美無理してない?

大丈夫?結局愛菜のこと親父にも言っといたけど、

菜々美に任せっぱなしになってるんだろ?」


「ちょっと、大変なときもあったけれど、

 具合が悪くなければ、保育園にお世話になれるし

 ベビ-シッタ-さんも見つかったし、

 家事の方はお手伝いの藤江さんが、ほとんどやっておいてくれるから。

 そんなに負担じゃないよ。

 ねえ郁人、愛菜は妹なの。

 私と、郁人の血を繋いでいる大切な。

 一緒に居て成長を見守ってあげたいの。

 無理だってしたいの。家族ってそういうものでしょ。」

 「うん、わかってる、

 でも、俺そばに居てやれないから菜々美だけが大変なのが嫌なんだ。」



「菜々美が大切だから。」



優しい空気が流れて、みつめあうドキドキが強くなって、

唇が近づく

ドアがガシャっと開いて

係員の女の人が「ご乗車おつかれさまでした。」笑顔とともに現れた。



郁人がガクッ項垂れた。


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