つないだ小指
言うべきかどうか悩んだけど嘘も秘密も持ちたくない。

多分どんな嘘も郁人には見破られてしまう気がする。

「あのね、、、郁人、私今日、春日に好きだって言われた。」

え?

「ずっと好きだったって。」


「うん、そうか。」


「返事とか気にならない?」


「うん、分かってるから。

 春日の気持ちも知ってたし。

 ちゃんと、話してくれてうれしいよ。」


「郁人、あとね、春日から言われた。家を出ろって。」


「え、」



「ごめん郁人、春日に言われたの、

 結婚したいのは私は郁人が好きなんじゃなくて、

 あの家に居たいためなんじゃないかって。

 私、ショックだったの。

 でもね、もっとショックだったのは、

 それを言われた私がすごく動揺したこと。


 ねえ、郁人はいつも私を見ていてくれて、

 私よりずっと私を知ってるよね、

 私は、そうなの?

 そんなにこの家に拘っているの?」



                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            



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