チョコと、君と。
「お疲れ様ー」
役員は、そう言って生徒会室をあとにした。
さて、どーやって切り出そう?
いきなりチョコとか、不自然すぎる。
少し考えるといい事を思いついた。
「愛染さん、ちょっといいですか?」
「何でしょう?」
「突然でごめんね。これ試食してもらってもいいかな?」
さすがに愛染も、首を傾げる。
「な、なんでですか?」
だよな、普通は無理だろうな。
でも、ちゃんとした言い訳的なのだって考えた。
「実は、僕の妹に彼氏にあげるチョコ作ってって言われて。妹が、美味しくできるまで、もってこないでって言うから・・・。愛染さんに食べて味を確かめてもらおうと思って」
「そうなんですか」
愛染は、納得したようだ。
「うん、だから食べてもらえる?」
少しの間、愛染は目を伏せて考えていた。
しばらくして“分かりました”と声を漏らした。
「ありがとう、愛染さん」
そう言って、手にもっていたチョコを渡した。
チョコを受け取ると、愛染は丁寧にラッピングを外す。
そして、チョコを口に運んだ。
さすがに、すぐ効果は現れないだろうから。
報告書を探すフリ。
しばらくしてそろそろか、と愛染に目をやると頬が赤く染まっていた。
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