〜海〜
「…ごめんなさい。」


優斗が来る前に。沙織さんが来る前に。

レンタルショップを抜け出した。


一秒でも早くレンタルショップから遠くに行きたくて…。

優斗たちから遠くに行きたくて。

走った。息が切れるまで。


空の色は私に同情してくれるかのように雲っていた。


目の前の景色は滲んで見えて。

なにも考えたくなくて。


優斗がいいよ。って答えるのが聞きたくない。

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