君と僕と。
「そこまで解っているなら話は早い。
第三〇三海軍航空隊に入隊してほしい。西園寺(サイオンジ)中佐」
「はっ!」
原田大佐の号令で控えていた西園寺と呼ばれる男が、紫の風呂敷を机の上に置いた。
「第三〇三部隊は君を小佐として迎え入れる」
原田大佐の言葉に合わせて西園寺中佐は風呂敷を広げる。
風呂敷の中から姿を現したのは、桜の刺繍が刻まれた紺色の正帽。その下には大佐、中佐と同じ制服。隣には短刀が入っていた。
普通、一般家庭から徴兵された場合、最高でも大尉までしか昇進できない。
つまり蛍詩の待遇は異例なのだ。