君と僕と。
昭和20年8月15日、昭和天皇による玉音放送で日本の降伏が国民に伝えられた。
終戦から3ヶ月。
まだまだ混乱している日本の中で、3年前にあどけなかった少女は国民学校に通うほど成長していた。
「では、試験を始めます。まだ問題用紙、回答用紙はめくらないように!」
先生は時計を見てきりのいい時間になるまで待っているようだ。
(うー…早くせんと忘れてまう!)
前日に一夜漬けで覚えた教科書の内容を早く書き出したい少女は鉛筆を上下に降っていた。
「始めっ!!」
(やった――っと!!名前名前)
問題用紙の内容を読む前に、回答用紙に名前という欄を見つけ、少女はまずそこを埋め始めた。
(桜咲……蛍…詩っと)
すべての文字を漢字で書くと、少女はすぐに問題に目を通し始めた。