君と僕と。
「うわー…53点て…。微妙すぎっつーかだめやろ」
2日後、先日行った試験の結果が返された。
気のせいか彼女の答案用紙を返す時、先生の眉間に皺がよっていたように見えた。
「やっぱり一夜漬けはだめだったかー」
蛍詩は深いため息をつき、項垂れて家路を歩く。
「あー。やっぱりここは辛いことなんて忘れられるわー」
産まれた時から慣れ親しんだ家は蛍詩の一番落ち着く場所。
時計の秒針の音を聞きながら答案用紙を放り投げ、居間に寝転がる。
「……お!野菜に水やらな!!」
蛍詩は飛び起き、バタバタと縁側に向かった。
「もうキュウリ食えるやん!やっぱりうち天才やな!!
成績悪くても生きていく術を知ってる方がずっと偉いんや!」
柄杓でずさんに水を撒きながら胸を張って食べ頃のキュウリをその場で採り、豪快にかじった。