記憶混濁*甘い痛み*

「……だとしたら……オレの友梨は、どこに消えた……?」


……ふっと、怒りが過ぎると悲しみが襲ってくる。


和音はロザリオを握りしめたまま、手を組み合わせ額にあてる。


「それとも……どこかに隠しただけか?オレの祈りが足りないから……友梨に逢えないのか?オレは……どうすればオマエに逢える?友梨……?」


忍に友梨との事を言われてから、友梨に逢いたくて病院までは来るのに、顔を見るのが、話すのが辛く思えて彼女の側に近付けなくなった。


言われなくても、友梨の性格なら手にとるように解る。


------今更、オレとやり直すなんて

所詮、無理なのかもしれない。
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