記憶混濁*甘い痛み*
「イケナイ事だわ……」
愛するお兄様より、触れたい異性がいるなんて
アダムとイブに林檎をすすめる蛇と同じ快楽主義者だ。
愛情を、家庭の外に求めるのは間違っている。
外に向けても良いのはマザーテレサさまのような慈愛の心だけだ。
「お兄様を……アイシタイ……」
ロザリオを握る指にくちづける。
条野さんじゃない
条野さんじゃないわ
私が『愛さなくてはイケナイ』のは……条野さんではなく……お兄様。
「…イエスさま。友梨に戒をお与えになって下さいませ。お兄様だけを愛したい。条野さんに心を乱される私をどうかお清めになって」
涙は『何』を思って流れているのだろう。
汚れた私
裏切ってしまったお兄様
私を汚した、条野さん?
でも
チガウ ケガサレタンジャナイ
心がバラバラになってしまいそうだ。
私は私が私を
アナタはアナタがアナタを
イヤだ。
チガウ。
ウソでしょう?
ウソよ。
デモ
「日に10回、イエスさまと世界の為にお祈りに参ります。それでも足りないのなら何度でも…ですからどうか…どうか…」
タスケテ