記憶混濁*甘い痛み*
……その、和音の姿を見て。
何故か、友梨の胸が痛んだ。
友梨の記憶は、和音と軽く指が触れた時点まで戻っている。
……なのに、視線は不思議と和音を追い
ほんの、少しずつ。
心にかすり傷を残しながら、増えてゆく甘い痛み。
「ママぁ?リズの、キレイ!キレイね?もうひとっつ、ね?もうひとっつ、ね?」
和音への微妙な感覚に戸惑っている友梨の頬に、枯れ葉を拾ったリズが頬ずりをしてきた。
友梨は、軽く首を振って、和音に感じた微熱を心から払拭させると。
「そうね、もう一枚、ね?」
と、リズに笑顔を見せて、彼女を抱いている腕に、少しだけ、力を込めた……