二人の物語
ひたすら謝り倒している私に声を掛けてきたのが、今目の前で間抜け面を晒している翔だった、というわけだ。
「いっやすっげーびっくりだわ。いつの間に? え、マジでいつの間にさ」
そういえば、天真爛漫な翔、思慮深い康とか二つ名をつけられてたっけ。この二人。
くるくると視線を動かして状況を理解しようとする翔を見上げながら、幼い頃、近所に住んでいた時のことを思い出した。
高校入学と同時に父親の仕事の都合で引っ越すまで、康達とはご近所さんをやっていたのだ。
一つ年下の二人とは、小学校までは一緒に登校していた。
所詮、通学班。
中学に入ってからは時々一緒になるくらいで、あえて一緒に登校したりしなかった。
ほら、双子って目立つじゃない、それだけで。
しかも、まぁまぁ整ったお顔をされているので、先輩な私はある意味校内で接触しないようにしていたのだ。
だって怖いじゃない、思春期の女の子の嫉妬はさ。
小学校高学年でおとり巻的女の子にそんな片鱗を見せられてから、必要以上の接触を断つようにした。
家に帰れば、普通にしていたけれども。
でも、その空気を読まないのが翔で。
あっさりと引いた線を飛び越えて、私に接触してくる。無邪気な笑顔で。
そして、その空気を読んだのが康で。
校内はもとより、他の人と出くわす危険のある通学路でも、私に話しかけてくることはなかった。家でも、落ち着いた表情で私と接していた。
じっと、二人を見上げる。
黙って無表情なら、まったく見分けがつかなそうな二人だけれど。
もしそんな状況でも、きっと私は見分けられる。
にじみ出る人柄というか、雰囲気がまったく違うのだもの。
康と言い合う翔に、視線を移した。
中学生の頃。
私を見つけて駆け寄って来る翔が、尻尾振る犬にしか見えなくて。
かわいいなぁと思っていたその気持ちが、いつの間にか恋心に成長したのは必然のはずだ。
誰が責められよう、中学生の私を!
ただ、気が付いたのが引っ越し後の高校に上がった後だったって所が、間抜けだけど。
それでもたまにメールしたり電話したり、年に二回は本家で会ってたから、いつか告白しようと思いつつ……、機を逸したわけなんだけどね。
「いっやすっげーびっくりだわ。いつの間に? え、マジでいつの間にさ」
そういえば、天真爛漫な翔、思慮深い康とか二つ名をつけられてたっけ。この二人。
くるくると視線を動かして状況を理解しようとする翔を見上げながら、幼い頃、近所に住んでいた時のことを思い出した。
高校入学と同時に父親の仕事の都合で引っ越すまで、康達とはご近所さんをやっていたのだ。
一つ年下の二人とは、小学校までは一緒に登校していた。
所詮、通学班。
中学に入ってからは時々一緒になるくらいで、あえて一緒に登校したりしなかった。
ほら、双子って目立つじゃない、それだけで。
しかも、まぁまぁ整ったお顔をされているので、先輩な私はある意味校内で接触しないようにしていたのだ。
だって怖いじゃない、思春期の女の子の嫉妬はさ。
小学校高学年でおとり巻的女の子にそんな片鱗を見せられてから、必要以上の接触を断つようにした。
家に帰れば、普通にしていたけれども。
でも、その空気を読まないのが翔で。
あっさりと引いた線を飛び越えて、私に接触してくる。無邪気な笑顔で。
そして、その空気を読んだのが康で。
校内はもとより、他の人と出くわす危険のある通学路でも、私に話しかけてくることはなかった。家でも、落ち着いた表情で私と接していた。
じっと、二人を見上げる。
黙って無表情なら、まったく見分けがつかなそうな二人だけれど。
もしそんな状況でも、きっと私は見分けられる。
にじみ出る人柄というか、雰囲気がまったく違うのだもの。
康と言い合う翔に、視線を移した。
中学生の頃。
私を見つけて駆け寄って来る翔が、尻尾振る犬にしか見えなくて。
かわいいなぁと思っていたその気持ちが、いつの間にか恋心に成長したのは必然のはずだ。
誰が責められよう、中学生の私を!
ただ、気が付いたのが引っ越し後の高校に上がった後だったって所が、間抜けだけど。
それでもたまにメールしたり電話したり、年に二回は本家で会ってたから、いつか告白しようと思いつつ……、機を逸したわけなんだけどね。