二人の物語
「こりゃー、難関だわ。よく突破したもんだよ、うちの康ってば。さすが俺の弟!」

ばしばしと背中を叩かれた康が、うっとうしそうにその手を払いのけた。

「うるせぇよ、少し雪に埋まって脳味噌冷やして来い」
「まぁ、辛辣」

これだけ似てるのに、何この性格の違い。
DNAの神秘を感じるわ。

納得しながら再び二人を見上げていたら、まだ涙目の翔が口端を上げて私を見下ろした。
「沙奈は、年上なのに年下だからな」

……年上なのに、年下?

意味の分からない言葉に、思いっきり首を傾げる。
するとやっぱり我慢できないと、ぶはっと翔が噴き出した。
「恋愛偏差値一桁台決定!」
「恋愛偏差値ぃぃ?」
うわ、きもっ。何が恋愛偏差値だ、大学生の男が言う言葉か。
「……真白目指す、お前と似てる」
ぼそりと呟いた言葉に、思いっきり康の足を蹴り上げる。


まだ乙女心で通じるもん!
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