ロード☆ランナー
「なぁ、ロウ。
私は、騎士になって良かったのだろうか」

「良かったに決まっているじゃないか。
剣術大会で正騎士を一気に五人抜きする従騎士なんて聞いた事がないよ。
アメリアが騎士にならなくて他に誰がなるんだ」

「私が騎士に成れたのは、剣術の才能を認められたから、だけだろうか」

「それは……」

ロウは口ごもった。

「すまない、変な事を聞いてしまったな。
忘れてくれ」

アメリアは取り繕うために言った。

「アメリアは騎士に成るべくして成ったんだよ。
他の事なんて関係ないさ」

ロウは階段を駆け上がり、アメリアの肩に手を乗せた。

ロウの手は温かくて大きい。

その温もりに、
アメリアは鼻の奥が痛むのを感じた。

慌てて目を擦り、
出てきそうになった涙を拭う。

「もう来ていたか。
まだ約束の時間までかなりあるが」

声のした方を見ると、
階段の上に、
肩幅の広い高身長な壮年男性が立っていた。

権威ある騎士にしか着用を許されない立派なメイルと豪華な剣を装い、
顔には深いシワが刻み込まれている。


アメリアは一歩下がって階段から下り、
肩膝をついて頭を垂れる。

その隣にいたロウは、
アメリアよりさらに一歩後ろに下がって同じポーズを取った。
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