ロード☆ランナー
団長の部屋は使用頻度の低い部屋ばかりある二階のさらに奥にあるので、
近くに立ち寄る事さえ滅多にない。

今歩いている廊下も普段使わない廊下で、
窓から見える外の景色は見慣れないものばかり。

しかし、
それを楽しむ余裕は無かった。

ただひたすら、
団長に遅れをとらないように歩を進める。

背の高い団長は歩幅も大きく、
団長が一歩進む間にアメリアは三歩ほど進まないと追いつかなかった。

それなのに団長は気にせずずんずん歩いていく。

文字通り、
着いていくだけで疲れた。


団長は部屋につくと、
部屋の鍵を開けてアメリアとロウを向かい入れた。

団長の部屋は割りと綺麗に整理されていて、
仕事机の上には立派な羽根ペンが置かれている。

壁面にも装飾が施されたクロスがかけてあったり、
棚に硝子細工があったりと洒落ていた。

「では、そこにかけてくれ」

団長は手の平で、
部屋の中央に置かれた机を差した。

黒塗りの机に、
白いテーブルクロスがかけられている。

この机は確か、
騎士団の会議を行う際に使われる物だったはず。

この話をしてくれたのは父だったので、
間違いないだろう。

父もこの机に座った事があると言い、
早くこの席の一角を任されるような立派な騎士になれと激励された記憶がある。
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