祐雫の初恋
運命的な出逢い
避暑地
白百合女学院高等学校の二年生の夏休み。
桜河祐雫(さくらかわゆうな)は、久世(くぜ)家の従姉兄たちに誘われて、
東野邸(ひがしのてい=久世家の母・萌の実家)の避暑地の別荘を訪れていた。
久世家の従姉は・・・
秋に結婚を控えた祐雫より三つ上の長女・久世香(くぜかおり)。
祐雫より二つ上の長男・久世馥太朗(くぜふくたろう)。
祐雫と同じ年の二男で東野家の跡継ぎの東野郁太朗(ひがしのいくたろう)。
久世家の姉弟は、華道家の父母の影響で、たおやかな面々だった。
昼食後のひとときは、音楽を聴いたり、読書をしたり、午睡をしたりと、
各々が自由に過ごしていた。