祐雫の初恋
「まぁ……
今までそのように
褒めていただいたことがございませんので、
とても恥ずかしゅうございます」
祐雫は、頬を薄紅色に染めて俯きながら、
不思議な気分に包まれていた。
今まで誰の前でも物怖じしたことがなく、
凛と胸を張って相手の瞳を見つめて
話をするようにしていた。
それが慶志朗の前では、
真っ直ぐに瞳を見つめて話すことが出来なかった。
普段の祐雫らしからぬ装いのワンピースが
慶志朗の瞳に留まったことにも戸惑いを感じていた。
そして、可憐なワンピースを纏った所為か、
陰を潜めていた祐雫の乙女心が呼び覚まされていた。
(普段にお逢いしてございましたら、
気に留めていただけなかったのかしら。
今日の祐雫は、祐雫らしくございませんのに)
祐雫は、こころの中で呟いた。