祐雫の初恋

「祐雫さん、これからもときどきお誘いしてよろしくて」


 麗華は、優しい笑みを祐雫に注いだ。

 
「はい、麗華さま。

 嬉しゅうございます。

 是非よろしくお願い申し上げます」


 麗華は、不思議でならなかった。


 今まで誰もが自分と近付きになりたいと集ってきていたのに、

自分から祐雫に興味を示していた。




 それからも時折、麗華は、様々な場所に祐雫を伴った。


 祐雫は、初めての場所でも物怖じすることなく、

自然に融け込んでいった。



 取り巻きたちからは

「最近の麗華さま、少々まろやかにおなりですわ。

 いかがされたのでございますか」

と不思議がられた。



 いつしか麗華の中に、自身が叶えることができなかった

【慶志朗の妻の座】

を祐雫に賭ける思いが芽生えていた。


 麗華は、祐雫を自身の世界に引き込むことなく、様々な体験を提供した。


 祐雫は、麗華に染まることなく、

その場その場で、祐雫らしく楽しむことを学んでいった。




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