祐雫の初恋

「それでは、この問題も同じように解いてごらん」


 優祐は、慌てて設問を指し示した。


 環は、照れた優祐に穏やかな笑みを浮かべて頷くと、問題に視線を落とす。


 優祐は、環のしなやかな指が、美しい文字を生み出す鉛筆の調べに

聞き惚れていた。



 環は、優祐の視線を感じながら、こころがしあわせで満ち溢れていた。




(優祐ったら、環さんのペースに巻き込まれているわ)


 祐雫は、イライラしながら二人を見つめていた。




「そう、それで正解だよ。すっかり理解できたね」


 優祐は、環の理解力に満足して、満面の笑みで、大きく頷いた。



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