祐雫の初恋
「ごめんなさい。
私って優祐に突っかかってばかり……
優祐は、そのような壮大なことまで考えていらしたの。
祐雫は、自分のことで精一杯でございますのに」
祐雫は、優祐の成長に気付き、自身の身勝手さを省みた。
「そこが、祐雫の可愛らしさでもあるのだから、
気にしなくてもいいよ。
祐雫は、真っ直ぐに突き進む性格だもの。
その大胆さが時には羨ましくもあるよ」
優祐は、母の祐里に似て優しい顔立ちで、
自ずと雰囲気にも優しさを湛えていた。
祐里と同じように周囲への気配りが自然と身に付いていた。
祐雫は、優祐に見守られて素直な気持ちになれた。
「私は、何でも理解してくれる優祐がいて、
しあわせでございます」
祐雫は、改めて優祐の成長を感じ取った。
「ぼくは、聡明な祐雫と
可愛い里桜の二人の妹がいて、
いつもしあわせだよ」
優祐は、しあわせいっぱいに祐雫へ微笑んだ。