祐雫の初恋
「嵩愿さま、お気を付けていってらっしゃいませ。
嵩愿さまのご活躍をお祈り申し上げてございます。
そして、私がニューヨークを訪れることがございましたら、
必ずご案内くださいませ」
祐雫は、当分の間逢えない慶志朗の顔を瞳に焼き付けるかの如く、
真っ直ぐに慶志朗を見つめた。
慶志朗の背後では、雨雲が去り、青空が広がっていた。
雨上がりの涼風が祐雫の黒髪を靡かせて、慶志朗の腕に絡まった。
「祐雫さんは、虹のような方ですね。
毎回、色々な色合いを放って、楽しませてくれます」
慶志朗は、心躍る気分に包まれた。