祐雫の初恋
一年前の夏、
森の中から、妖精のごとく現れた祐雫は、慎ましくたおやかな乙女だった。
慶志朗は、その神秘な可憐さに惹かれた。
その後、百貨店で見かけた祐雫は、聡明で、はきはきとしていた。
桜池に案内してくれた祐雫は、初々しい素顔を慶志朗に垣間見せてくれた。
逢う度に、新しい表情を見せてくれる祐雫に慶志朗は、驚かされる。
(きっと留学中の二年間で、更なる変化を見せてくれることだろう。
祐雫さんのことだから、留学してくるかもしれない……)
慶志朗は、真っ直ぐに見つめてくる祐雫を一層愛おしく感じる。