祐雫の初恋

 
 一年前の夏、

 森の中から、妖精のごとく現れた祐雫は、慎ましくたおやかな乙女だった。


 慶志朗は、その神秘な可憐さに惹かれた。


 
 その後、百貨店で見かけた祐雫は、聡明で、はきはきとしていた。



 桜池に案内してくれた祐雫は、初々しい素顔を慶志朗に垣間見せてくれた。

 
 
 逢う度に、新しい表情を見せてくれる祐雫に慶志朗は、驚かされる。



(きっと留学中の二年間で、更なる変化を見せてくれることだろう。


 祐雫さんのことだから、留学してくるかもしれない……)




 慶志朗は、真っ直ぐに見つめてくる祐雫を一層愛おしく感じる。







< 151 / 154 >

この作品をシェア

pagetop