祐雫の初恋
「森の雷は、町の雷と違って豪快だから、
びっくりしたのでしょう。
大丈夫ですよ、
落ちはしませんから」
慶志朗は、微笑んで震える祐雫の肩を優しく抱き寄せる。
祐雫は、慶志朗の大きな胸に顔を埋めて小さく頷いた。
慶志朗からは、爽やかな森の香りが感じられた。
祐雫は、安堵してしばらく慶志朗の胸に顔を埋めていた。
慶志朗は、静かに祐雫の肩を抱いて、
夕立の雨を見つめていた。
外の激しさと相反して、
部屋の内は、穏やかな雰囲気が立ち込めていた。