祐雫の初恋
「このように大きな虹の橋は、
生まれて初めてでございます」
祐雫は、思わず歓びの声をあげた。
「この山峡にかかる虹の橋は、
一八〇度回転して、
ゆっくりと移動して行くのです」
祐雫は、熱く虹について語る慶志朗を見上げ、
慶志朗の瞳に映る七色の虹に
尚のこと惹き込まれていた。
「夕立の後は、
時々ここから虹が見えることがあるので、
もしやと思ったのですが、
遠回りしてきた甲斐がありましたね」
虹色の瞳の慶志朗に魅せられて、
祐雫は、慶志朗の背中に、
天使の羽が見えるような心地になった。