祐雫の初恋
恋する乙女

恋煩い

 

 避暑地から帰って以来、

部屋に閉じこもっている祐雫を心配して、

祐里は、祐雫の部屋の扉を叩いた。


「祐雫さん、ご機嫌いかがでございますの。

お食事もほとんど召し上がってございませんし、

おばあさまや紫乃さんまでが心配してございます」


 祐里は、窓辺の長椅子に凭(もた)れて、

窓の外をぼんやり眺めている祐雫を気遣った。


「母上さま……


祐雫は、何だかとてもおかしな気分でございます。

何も手がつきません」


 祐雫は、避暑地から戻ってからというもの

虚脱感に苛(さいな)まれていた。

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