祐雫の初恋
「里桜(りおう)さん、
お隣の優祐お兄さまのお部屋で
遊んでいらっしゃいませ。
祐雫お姉さまと大切なお話をいたしますから」
祐里は、腰を下ろして、里桜の目線になって言葉をかける。
里桜は、神の森に行く前に授かって生まれた二女で、
桜の樹に守られて、すくすくと成長していた。
「はい、母上さま。
優兄ちゃまと遊んできます。
祐姉ちゃま、早く元気になってね」
里桜は、幼いながらも
祐雫の元気のなさが気になっていた。
そして、元気付けようと祐雫の手を取り、
微笑んで手を振ると部屋を出て行った。