祐雫の初恋
(恋をすると祐雫でも、淑(しと)やかになるのですね)
優祐は、背中に隠れている祐雫が可愛く思えた。
何度か会ったことのある嵩愿家の御曹司である慶志朗は、
異端児的な要素を持ち合わせていながら、
経済界の重鎮たちに孫のように可愛がられている存在だった。
大学二年生で、すでに嵩愿グループの取締役の肩書きを持っていた。
はじめて晩餐会に参会した時に、祖父・啓祐から若手の中で、
いの一番に紹介され、有望視されていた。