祐雫の初恋
「桜河家のお二人がお揃いのところをはじめて拝見致しましたわ。
慶志朗の許嫁の麗華でございます」
佐和原麗華(さわはら れいか)は、比類ない美しさで、
周囲を圧倒していた。
「お初にお目にかかります。
御乃倉琳子(みのくら りんこ)でございます。
わたくしは、慶志朗さまとは幼馴染でございますの」
麗華に相反して、琳子は、たおやかな美しさで、周囲を和ませていた。
「嵩愿さま、今夜はご招待ありがとうございます。
佐和原さま、御乃倉さま、お目にかかれて光栄です。
桜河優祐です。
よろしくお願いします」
優祐は、驚いて潤んだ瞳の祐雫の分まで、
しっかりしなくてはと
気を取り直して挨拶をする。
そして、祐雫の腕を軽く突付いた。
「嵩愿さま、ご招待ありがとうございます。
麗華さま、琳子さま、桜河祐雫でございます。
お目にかかれまして、嬉しゅうございます。
今宵は、よろしくお願い申し上げます」
祐雫は、こころが押しつぶされそうになりながらも、
ぎゅっと拳を握り締めて涙を堪えた。