祐雫の初恋

「クラシックコンサートは、お気に召しませんか」


 突然、後ろから声がして、慶志朗の悠々とした笑顔が現れる。


「いいえ……そのようなことは」


 祐雫は、驚いて立ち上がる。


「みなさん、ティーサロンで、寛いでいますよ。

 祐雫さんには、苺ジュースをお持ちしました」


 慶志朗は、給仕係からグラスを受取って、祐雫に手渡した。


(何故、祐雫には、苺ジュースでございますの

 祐雫は、幼いから……)


 祐雫は、慶志朗からグラスを受取って、苺の香りに包まれた。





< 65 / 154 >

この作品をシェア

pagetop