祐雫の初恋
慶志朗は、年始早々、
父から大学を卒業と同時に身を固めるようにと迫られ、
言い争いになっていた。
式は、来年の春と決められ、既に式場は手配されていた。
今年の秋には、招待状を出す予定にまでなっていた。
昨夜も言い争いは続き、
父母の思惑の板挟みで憂鬱な気分に陥っていた。
無意識のうちに祐雫に会いたいと思い立ち、車を走らせていた。
気がつくと祐雫が校門を出て、目の前に現れた。
まだ、乙女の域を脱していない祐雫を妹のように感じつつ、
何故か側に置きたい気分になっていた。