祐雫の初恋
麗華と琳子
慶志朗は、土曜日の午後、麗華を春の宴に連れ出した。
「慶志朗から、琳子抜きでお誘いだなんて珍しいわ。
何か思惑があってのことですの」
麗華は、午後の管弦楽コンサートが終わったところで呟いた。
「お察しの通り、麗華さんに大切なお話があります。
夕食が終わるまで、お付き合い願えますか」
「ええ」
麗華は、何時になく素直に従った。
慶志朗は、麗華お気に入りのレストランを予約していた。
食事中は、いつもながらに、慶志朗と麗華双方の華やかな会話が弾み、
周りからは、仲睦まじい恋人同士に以外の何ものでもなかった。
デザートがテーブルに並べられた。
麗華は、大きな瞳で、慶志朗を見詰める。
このまなざしが最も美しいと麗華は自負していた。